« 2009年12月 | トップページ | 2010年2月 »

2010年1月30日 (土)

設計のノウハウ その5 配管

昨日、建築現場で配管のことが話題になったので、今日は電気の配管のことをお話します。

電気工事には通常、配管が不可欠であります。電気の配線を配管で保護し、目的の場所まで敷設するのです。(電気工事とはとても大変な作業なのです)

電気設計者は配線を決め、配管サイズを選定し、設計図にしていきます。それが出来ないと設計者ではありません。音響の設計者でもこの能力は絶対に必要で、音楽ホールなどの場合はこれが出来ないと設計チームには入れません。本来であれば、照明デザイナーといえども電気の設計者のカテゴリーに入るわけですから、このぐらいのことは出来ないとおかしいのですが・・・・・

電気用の配管は大雑把にいって、2種類に分かれます。金属の配管、樹脂の配管です。金属はE25やE31といったように、サイズの前に[E]と表示します。樹脂はPF28のようにサイズの前に[PF]と表示します。

調光盤からの配線は通常、ノイズを伴います。音響などの配線は非常にノイズに弱いので、それでノイズから保護するために金属配管で保護するのです。樹脂のPF管はノイズから守る能力はありませんが、フレキシブルに曲がるので、敷設が容易で、また錆びないので非常に便利なものです。

配管のサイズですが、これを決めるのには、そこへ通す配線の断面積を調べなくてはいけません。このサイズとは、基本的に、通す配線の30%未満としています。但し、これは曲がりが2箇所までの場合です。よく、電気屋さんが「ノーマル」とか言っているのは90度曲げるための既成品の曲がった配管を示します。だからノーマル2本までは30%といいます。

すいぶん、少ない量しか通せないとびっくりしたかもしれません。しかし、配線は内部の摩擦などで、なかなか簡単には通らないものなのです。曲がりが3箇所とかになると10%くらいに配線の量を減らします。それぐらい電気工事というのは大変なお仕事なんです。

サイズは金属管が19~75まで。PF管は22~82まで。金属管が外形サイズを示し、PF管は内径を示しています。

Epson_0901_1

建築設備手帳2006年度版より。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月23日 (土)

光和の展示会

今年も光和さんの展示会に行ってきました。今年の目玉は、大型映像が全てハイビジョン対応になり、すごい鮮明になったことでしょう。

1 2 3

昔であれば、これよりも暗く、もっと荒い映像でも軽く数億のコストが必要でしたが、ここ数年ですごい進歩を遂げたものです。昔は舞台照明と映像演出はまったく違うカテゴリーでしたが、舞台照明装置が映像の機能を高次元に取り込んだので、今では舞台照明も映像演出も同じカテゴリーになったようです。特に強力な光になったLEDの表示装置は、現在の建築照明がLEDに変わってきているその進歩状況を数段飛び越えていて、今の建築照明業界の従来のLEDの照明という考え方ではない、まったく違う照明デザインになる予感がします。インテリアデザインにまで影響を与えるでしょう。

映像をどんな場所へでも自由に投射できるので、従来のTVやビデオプロジェクターなどもこれからは衰退していくでしょう。自動車と飛行機くらいの違いがあります。

4 5

ビデオプロジェクターも進歩していて、従来は、床に投射するには、高額なミラーを使って反射させて床の投射していたのですが、それからソニーがそれを出来る機種を出しましたが、ようやくサンヨーも出したようです。それもハイビジョン対応ですから、映像の鮮明さは比較にはなりません。すごい進歩です。

6

それとモニターを積み上げる大型映像装置ですが、昔、六本木のすごい大きな会議室に導入したことがありましたが、官庁で使われているものは数億なので、安価なメーカーのものにしたものです。それが今ではその10分の1以下の値段(それも安価なメーカーのより)で数段の映像のクオリティとはびっくりです。それで消費電力もすこぶる小さい。これだけの映像ですと、駅や空港などの表示装置にはもってこいですし、会議室でも十分に仕えます。また従来のように複雑で高額な装置も必要ありません。すごい画期的なことです。

7 8 9

あと、圧巻だったのが、LEDの映像表示です。LEDは輝度が高いので、屋外で、昼間でも映像が十分に見えるのですが、なんといっても高額でした。畳2畳くらいで数億は当たり前でした。それが数倍の鮮明さを持ち、それで値段は数分の一です。これならば、従来のネオンなどはもう駆逐されそうです。また看板を光で照らすということも過去のものになるでしょう。このLEDパネルならば、看板を人手で張り替えるという作業は必要ありません。これが普及したころには従来の看板屋さんは廃業するしかないでしょう。

照明デザインも、ライトアップという方法は従来の昔の建築物だけで、新しい建築物にはもう必要なくなるかもしれません。今の照明デザインの手法はもう過去のものになるのも近いでしょう。

10 11 12 13

昨年、サンヨーの超近距離投射型のビデオプロジェクターにびっくりしたのですが、なんと今年はそれをより明るく鮮明にしたものが日立から出ました。それも上下に設置してより明るい映像を出せるのはすごいことです。会議室のビデオプロジェクター設置の考え方も変わらざる得ません。ここ2~3年は同じものばかりで、あまり進歩が見られなかったこの業界ですが、米国発のサブプライム不況でも新しいものを開発していたメーカーさんはすごいものです。今回の進歩は、実は「ナノテクノロジー」への進化です。映像素子から投射素子までナノの領域まで近づいています。これは従来の考え方や方式を凌駕するものです。今までのデザインもこれだけが専門です・・・とはいえなくなるでしょう。デザインもハイブリッドが求められる時代がすぐそこまで来ているように思われます。

14

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月13日 (水)

設計のノウハウ その4 設計屋の仕事とは

設計屋やデザイナーの仕事とは、ただ図面やパースを描くことではない。その図面やパースを描くということは、実はそれで予算が出来るのが重要なことなのです。設計屋やデザイナーがいくら紙に絵を描いても、それだけでは建物は出来ません。お金があって、それでその設計屋やデザイナーの図面をきちんと施工できる実際の設計図にしてもらって、それに基づいて、職人さんたちが作ってくれるのです。だから実際の施工では設計者やデザイナーの図面通りなんかにはほとんどなりません。あくまでデザイナーの絵は予算と考え方だけのものなのです。上手くいかない仕事はだいたいこのあたりがおかしい場合がほとんどなのです。最初の予算をきちんとはじけるくらいに基本設計図が良くないとダメなのです。だから設計屋やデザイナーはお金を頂戴できるのです。建築は一人でなんてできないのです。ましてや設計屋やデザイナーが建物を建てることができるわけが無いのです。

きちんと施工者がお金をはじけて、且つ、きちんと施工できる設計図を描かなくてはダメなのです。それが基本です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月 8日 (金)

設計のノウハウ その3 芸術品の前に実用品であれ

「芸術品の前に実用品であれ」これも先に紹介した、北海道の建築士さんの師匠のお言葉だそうです。名言ですね。全くそのとおりだと思います。照明デザインにおいても正にそのとおりですね。照明デザインをするにあたり、極力、ランプの種類は少なくして設計するのが重要なのです。何故かといいますと、ランプは消耗品で、必ず切れてしまいます。その種類が多いと管理者とオーナーの負担は増す一方になってしまうからです。

管理者は、いちいち切れたランプの種類を調べて交換することは殆どありません。そんなことまでして毎日の作業量を増やしてまで、その照明デザイナーの作品を守ることはありえないのです。ですから数年後、まったく違う空間になってしまうのは、管理者やオーナーの責任ではありません。それは設計者の技量が低いのです。それを見据えて設計しなくてはいけないのです。

オーナーは設計者に「作品」を作らせてはいけません。そんなデザイナーの作品を作らせるために大切なお金を使ってはいけないのです。空間は作品ではありません。あくまでも実用品でなければならないのです。その基本性能を踏まえて、そこからいかに美しく、かっこよい空間照明にするか。それが設計者の仕事なのです。仕事の順序を間違ってはいけません。

ランプは設計段階で決まってないとおかしいのです。それで、管理者はそのランプリストで、維持コストを算出するのです。ですから、調整時にランプを交換するなんてことは、してはいけません。それは設計ミスなのです。最後の竣工写真のためだけの「作品」を作ってはいけないし、作らせてはいけないのです。

「芸術品の前に実用品であれ」この言葉をかみ締めて、設計者は「設計」をしなくてはならないのです。それが設計料というお金をいただくということなのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

設計のノウハウ その2 照明(電気)は熱との戦い

「建築は水との戦いである」という名言が、北海道の建築士さんのブログで紹介されていましたが、照明は熱との戦いであります。それに尽きる。フィラメントを燃やしている白熱灯は言うに及ばず、LEDや蛍光灯も電気というエネルギーを光に変換しているので、いずれにしろ熱が発生するのです。その熱を環境や建築、内装にいかに影響を与えずに上手く納めるかが照明設計では重要なポイントであります。照明の納まりディテールを描く場合は、照明の具合だけでなく、熱をどう逃がすのかをきちんと示さなくてはいけません。ただの納まりだけなど絵に描いた餅と同じで、そんなものはなんいもならないのです。理にかなったものでなければ上手くはいかないのです。仮に照明の具合を示すディティールならば、照明の器具の納まりだけでなく、グレアも含めた空間全体を描かなくては、照明の具合を示すディテールとは言わないのです。

また、配線は電気が流れると抵抗となって熱が発生します。適切なケーブルの太さ、ケーブルの種類を選定しなくてはなりません。照明器具を配灯するだけでは「設計」とはいえません。(日本では「設計」と「デザイン」は別なものらしい・・・・)

映像設備も同じ「電気」なので、熱との戦いなのです。ビデオプロジェクターなどは照明器具と同じなので、結局は熱をいかに逃がして納めるか?なのです。それができないと、いくら高性能の機器を使おうと、それを生かしきれないのです。ビデオデッキや音響のパワーアンプなど、音響・映像機器は熱が発生するものばかりです。それを漠然とラックに納めると少なからず故障します。ですから、必ず熱を逃がす納めかたが重要になります。照明の調光盤も熱を発生します。その熱を逃がすために空調設備に冷却を御願いするのも設計の仕事なのです。

まずは熱を上手にコントロールする。それからが一般的なデザインの領域に入っていくのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年1月 3日 (日)

設計のノウハウ その1 ローボルトとラインボルト

この「設計者のノウハウ」では、設計者のノウハウだけでなく、施工の方法や、それに対する設計の仕方なども明らかにしていこうと考えております。どれだけ続くかわ判りませんが、その第一回目です。間違った考えや記述等がございましたら、是非是非ご指摘くださいませ。

「ローボルトとラインボルト」

これはダイクロイックハロゲンランプの種類のことです。ダイクロイックハロゲンランプというのは、ランプに光を反射させるミラーが付いているタイプで665803_l1 、光は反射しますが、ランプの熱はミラーを透過させて反射させないという優れものです。レストランのテーブルや、食品、商品などの照明に適しています。

これにローボルトとラインボルトという種類があります。ローボルトとは12vの電圧で発光するランプで、ラインボルトは100vの電圧をそのまま繫げば発光します。日本の電気は100vなので、ラインボルトはそのままつなげますので簡単ですが、12vのローボルトは電圧を落とさなくてはいけませんのでトランスで電圧を落とします。なぜこんな面倒なことをしてまでローボルトハロゲンというランプが存在するというと、それはフィラメントがローボルトはラインボルトに比べ、短いからなのです。光は点光源であればあるほど、ミラーに対して素直に反射してくれます。ラインボルトはどうしてもフィラメントが長いので、反射した光を全てミラーで綺麗に反射させることは不可能なのです。それでより綺麗な光のためにローボルトハロゲンがあるのです。よいことずくめのローボルトハロゲンランプですが、実は弱点があります。それは電圧を落とすためのトランスなのです。トランスは電子部品がいっぱい詰まっています。その部品にはどうしても耐久性が短いものがあるのです。テレビにも入ってるコンデンサーやコイルというヤツです。それは長くて10年、あるいは5年程度しか耐久性は無いのです。トランス自体は安い(定価で¥3500ー)ですが、大きな施設となるとその数量は膨大になり、もし故障したならば、非常に大きなコストになってしまいます。また調光器との相性もあり、物によってはノイズの発生源になる場合もあるので注意が必要です。

ローボルトハロゲンはとても便利ですが、使う場所は限定すべきです。ブティックやレストランど、短い期間で改修する施設であれば問題ないでしょうが、長く使う施設であれば、通常のラインボルトにしたほうが賢明です。一般の方々にはラインボルトの光もローボルトの光も、はっきりいってその違いが判らないと思います。

ローボルトはサインはアートワークなどのピンポイント照明に、ラインボルトは施設のベース照明に。それが正しい使いかたです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

今年もよろしく御願いいたします。

今年からは、このブログも充実させ、施主様、設計者様への情報発信の場になるよう頑張って参ります。また、将来、照明や音響、映像などの設備デザイナーを目指す若い諸氏へのノウハウの伝達もこのブログにより出来ればと考えております。

今後とも、ご指導、ご鞭撻の程、よろしく御願いいたします。

株式会社ホリテック 堀江 徹

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年12月 | トップページ | 2010年2月 »