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2011年2月 9日 (水)

設計のノウハウ その12 自分で図面を描きなさい

前、同業の若いお兄さんがメーカーに特注の照明器具の図面を描かせていたので怒ったことがある。それは彼がとても良いヤツで、将来有望であるからなのだ。

メーカーに描かせると失敗が無いであろう。しかし、その失敗が無いことが曲者なのである。人間は失敗しないと憶えない。また、特注の図面を描くには、ビス、金物、ランプの位置、熱の問題など、膨大なノウハウが必要になってくる。ましてや考えて描かなくては図面にもならないし、ましてやモノが出来ない。失敗して、現場で怒られて、それですこしずつ憶えていくものなのである。そんなチャンスをみすみす逃すことは非常にもったいないのである。

話はずれるが、照明デザイナーは照明器具の選定と配灯だけしか出来ないと、これからはアウトなのである。そんなものは、もはや特別な技術でもなんでもないのである。だいたい、配線の意味もよく分からずに描くからいつまで経ってもダメなのだ。トラブルがあってもその対策が身につかないのである。いくら時間かけてへたくそなスケッチ描いて色塗っても、それは時間の無駄である。

かなり昔、有名な家具屋の若いのを現場で怒鳴ったことがある。図面をつき返して、職人さんに教えてもらってから、家具の図面を描け!と。ようは、家具図が表層だけのデザインで、まったく考えられてないから、あまりにも構造が弱く、稼動部分もダメだったからである。その会社はそれから年々後かに潰れたそうだ(また復活して名前は残っているらしい)自分は業者の時代、自分の描いた家具図で、職人の爺さんからいつもこっぴどく怒られた。それでたくさんの失敗をしたので、いまでも家具図を読めるし、描くこともできる。それは現場での打合せでは非常に有利になるのである。

ちゃんと自分で図面を描いて、ちゃんと自分の頭で考えないといつまで経っても一人前にはなれないのである。たくさん失敗しないと進歩しないし、ノウハウも貯まっていかないのである。

図面は自分で頭を使って描きましょう。

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設計のノウハウ その11 ただより高いものはない

設備設計の図面を大手設計事務所やゼネコンの殆どはメーカーに御願いする。所謂、設計協力という、図面を無料で描いてもらう見返りに、器具、工事を発注するというものである。一種の談合でもあり、また通常の商いでもあり、見慣れた光景である。設計はタダで設計図が手に入り、その分をお客さんからお金を貰うので、原価はほとんどかからない。メーカーにしたら、それで自分のところの器具が売れるのだから、お互いにメリットがある。自分も施工業者だったころは、当然のようにやっていた。当たり前である。商売だからである。

しかし、ここで大きな問題がある。それは設計事務所にノウハウが貯まらないということが大問題なのである。メーカーは他のメーカーに取られないようにするために、図面を曖昧にしておくものである。そうしないと、工事金額が予算より突出(いつも当たり前にそうなる)した場合、他のメーカーに置き換えられるのを防ぐためなのである。だから、大手設計事務所やゼネコンの設備図は、どこもまったく同じ描き方(殆どが某メーカーの図面ばかり)で、難解で解読するのに非常に手間がかかる。その図面を描いた者でないと分からない仕掛けをしているからである。逆を言えば、設備設計図など、金額と容量を算出する以外に意味が無いのである。なんたって、設計協力依頼をしている担当者でさへ図面の内容を把握できていない場合が多いくらいである。設備設計の担当者は、今では自分で設計図を描くのではなく、メーカーの図面を監理するのがお仕事になっているのが現状なのだ。こうなると、いつまで経っても設計図の精度は上がらないし、設備設計者は図面を描く機会が無い。だから設計図を描けなくなるし、読めなくなる。会社は儲かるが、担当者個人にはノウハウがまったく貯まらない。だからリストラされてもどこへも行けず、また独立も出来ない。仮にメーカーの采配が非常に上手だったとしても、いざ独立すると、いままでさんざん頼んできたメーカーが簡単にそっぽを向く。当たり前である。メーカーは設計担当者と取引していたわけではない。あくまでもその会社と取引していたのである。大手設計事務所がやっているメーカーへの設計協力とは、設計担当者に楽をさせている訳ではない。実は担当者にノウハウが貯まらないようにしているということなのである。何年も何物件やっても実はノウハウがまったく無かったというのはとても悲しい。

本来、設計図というのはノウハウの塊みたいなものです。だから施主はお金を払うのですね。

だから若い設計者に言いたい。

とにかく、メーカーへただで設計協力させるのではなく、外注などにお金を払って、ノウハウを貰いなさい。何回か設計してもらって、設計の仕方を教えてもらって、それから自分で描いてみればいい。いくら間違ったっていい。それでその外注にお金を払ってチェックしてもらえばいい。それで何年かすると膨大なノウハウが貯まるはずである。そうなればいざというときに独立できるし、会社もそんな人材はどこへも逃がさないようにするからリストラなんかまったく心配しないでいられる。また、自分で設計図を描けるようになると、信じられないほど短時間で設計図をまとめることができるようになります。設計図のつぼが分かるようになるのと、外に図面を発注するというのは意外と手間と時間が掛かることが理解できるようになります。メーカーに頼まなければ器具の理解も深まるし、ましてやそのメーカーの器具を無理に押し込む面倒な駆け引きが必要なくなり、コストカットも必要なくなり、本当に仕事がスムーズに速くなります。仮にメーカーに描かせても、つぼが分かるので、ちゃんとコントロールできるようになります。現場での打合せで圧倒的に違いが出ます。それが一番大きい効果でしょう。

ただより高いものは無いのです。仕事なんて会社のためにやるのではなく、個人のためにやるのです。ノウハウはただでは絶対に手に入らないのです。

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2011年2月 5日 (土)

設計のノウハウ その10

この頃、ようやく建築照明デザインにもシュミレーターというのが出てきました。

実は、このシュミレーター、音響の世界ではもう10年以上前から実用されてまして、ようやく建築照明も音響に近づいてきたようです。日本や北米などは、進んでいるといわれる建築照明デザインの世界ですが、音響というマイナーな世界から比べて、なんで10年も送れているのか?それは、建築照明のビジネスが音響に比べ、あまりにも小さいからです。マイナーな音響よりも、建物にたくさん入る照明器具のほうが、なんでビジネスが小さいのか?という疑問もでるでしょう。照明器具というのは、数は多いですが、単価があまりにも安いんです。ちょっとした会議室などは、照明器具の金額の割合は音響、映像に比べ、1/10以下しかありません。音響、映像機器はたしかに数量は少ないのですが、その金額は数倍から数十倍にもなります。ですので、非常に高価なシュミレーターは使えなかったのです。しかし、最近はコンピューターが非常に安価になり、その高価な音響シュミレーターを改造することで、出来たのでしょう。基本的に音響と照明のシュミレーターの根本は同じです。ようはエネルギーの分布の解析なのです。ですので、照明のシュミレーターの画面は音響シュミレーターの画面とそっくりです。

空間の大きさ、距離、壁の材質、反射率など、入力が正確であればあるほど、当たり前ですが、その数値も正確に近づいてきます。

ですが、基本が分かっていないと、シュミレーターも生きてきません。音響であれば、スピーカーの配置、出力、方向を決めるベーシックな知識が無いとどうしようもありません。映像でも同じで、画面の大きさ、解像度、また空間の明るさに対しての画面の明るさという方程式が分からないとシュミレーションできません。それは舞台照明も同じです。

やはり何事も基本が一番大切ということですね。

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